出馬将司の天上天下唯我独尊

成田空港を中心に、日々の出来事や、感想等誰に遠慮する事も無く気儘に綴っています。成田空港のことなら何でも聞いてください。

    裁判所2
    昨日は、無罪の判決について述べたが、今日は有罪について書いてみようと思います。
    まずは判決文を

    平成25年(あ)第725号 詐欺被告事件

    平成26年3月28日 第二小法廷決定

    主 文

    本件上告を棄却する。
     

    理 由

    弁護人黒岩千晶,同金岡繁裕の上告趣意は,憲法違反,判例違反をいうが,実質

    は事実誤認,単なる法令違反の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たら

    ない。
     

    所論に鑑み,本件ゴルフ場の施設利用に関する詐欺罪(以下「本件」という。)

    の成否について検討する。
     

    1 原判決及びその是認する第1審判決の認定並びに記録によれば,本件の事実

    関係は次のとおりである。
     

    (1) 本件は,暴力団員である被告人が,本件ゴルフ倶楽部の会員であるAと共

    謀の上,平成22年10月13日,長野県内のゴルフ倶楽部において,同倶楽部は

    そのゴルフ場利用約款等により暴力団員の入場及び施設利用を禁止しているにもか

    かわらず

    真実は被告人が暴力団員であるのにそれを秘し,Aにおいて,同倶楽部

    従業員に対し,「○○○○」等と記載した組合せ表を提出し,被告人の署名簿への

    代署を依頼するなどして,被告人によるゴルフ場の施設利用を申し込み,同倶楽部
     

    従業員をして,被告人が暴力団員ではないと誤信させ,よって,被告人と同倶楽部

    との間でゴルフ場利用契約を成立させた上,被告人において同倶楽部の施設を利用 

    し,もって,人を欺いて財産上不法の利益を得た,という事案である。
     

    (2) 本件ゴルフ倶楽部では,暴力団員及びこれと交友関係のある者の入会を認めておらず,入会の際には「暴力団または暴力団員との交友関係がありますか」と
     

    いう項目を含むアンケートへの回答を求めるとともに,「私は,暴力団等とは一切

    関係ありません。また,暴力団関係者等を同伴・紹介して貴倶楽部に迷惑をお掛け

    するようなことはいたしません」

    と記載された誓約書に署名押印させた上,提出さ
    せていた。ゴルフ場利用約款でも,
    暴力団員の入場及び施設利用を禁止していた。
     

    共犯者のAは,平成21年6月頃,本件ゴルフ倶楽部の入会審査を申請した際,上

    記アンケートの項目に対し,「ない」と回答した上,上記誓約書に署名押印して提

    出し,同倶楽部の会員となった。
     

    (3) 被告人は,暴力団員であり,長野県内のゴルフ場では暴力団関係者の施設

    利用に厳しい姿勢を示しており,施設利用を拒絶される可能性があることを認識し

    ていたが,Aから誘われ,本件当日,その同伴者として,本件ゴルフ倶楽部を訪れ

    た。
     

    本件ゴルフ倶楽部のゴルフ場利用約款では,他のゴルフ場と同様,利用客は,会

    員,ビジターを問わず,フロントにおいて,「ご署名簿」に自署して施設利用を申

    し込むこととされていた。

    しかし,Aは,施設利用の申込みに際し,被告人が暴力
    団員であることが発覚するのを恐れ,
    その事実を申告せず,フロントにおいて,自
    分については,
    「ご署名簿(メンバー)」に自ら署名しながら,


    被告人ら同伴者5
    名については,事前予約の際に本件ゴルフ倶楽部で用意していた
    「予約承り書」の
    「組合せ表」欄に,「△△」「○○○○」「××○○××」などと
    氏又は名を交錯
    させるなどして乱雑に書き込んだ上,

    これを同倶楽部従業員に渡して「ご署名簿」
    への代署を依頼するという異例な方法をとり
    ,被告人がフロントに赴き署名をしな
    いで済むようにし,被告人分の施設利用を申し込み,

    会員の同伴者である以上暴力
    団関係者は含まれていないと信じた同倶楽部従業員をして
    施設利用を許諾させた。
     

    なお,Aは,申込みの際,同倶楽部従業員から同伴者に暴力団関係者がいないか改

    めて確認されたことはなく,自ら同伴者に暴力団関係者はいない旨虚偽の申出をし

    たこともなかった。
     

    他方,被告人は,妻と共に本件ゴルフ倶楽部に到着後,クラブハウスに寄らず,

    車をゴルフ場内の練習場の近くに停めさせ,直接練習場に行って練習を始め,
    妻か
    ら「エントリーせんでええの。どこでするの」と尋ねられても,そのまま放置し,
     

    Aに施設利用の申込みを任せていた。その後,結局フロントに立ち寄ることなく,

    クラブハウスを通過し,プレーを開始した。なお,被告人の施設利用料金等は,翌

    日,Aがクレジットカードで精算している。
     

    (4) ゴルフ場が暴力団関係者の施設利用を拒絶するのは,利用客の中に暴力団

    関係者が混在することにより,一般利用客が畏怖するなどして安全,快適なプレー

    環境が確保できなくなり,利用客の減少につながることや,ゴルフ倶楽部としての

    信用,格付け等が損なわれることを未然に防止する意図によるものであって,ゴル

    フ倶楽部の経営上の観点からとられている措置である。
     

    本件ゴルフ倶楽部においては,ゴルフ場利用約款で暴力団員の入場及び施設利用

    を禁止する旨規定し,入会審査に当たり上記のとおり暴力団関係者を同伴,紹介し

    ない旨誓約させるなどの方策を講じていたほか,

    長野県防犯協議会事務局から提供
    される他の加盟ゴルフ場による暴力団排除情報
    をデータベース化した上,予約時又
    は受付時に利用客の氏名がそのデータベースに
    登録されていないか確認するなどし
     

    て暴力団関係者の利用を未然に防いでいたところ,本件においても,被告人が暴力

    団員であることが分かれば,その施設利用に応じることはなかった。
     

    2 以上のような事実関係からすれば,入会の際に暴力団関係者の同伴,紹介を

    しない旨誓約していた本件ゴルフ倶楽部の会員であるAが同伴者の施設利用を申し

    込むこと自体,その同伴者が暴力団関係者でないことを保証する旨の意思を表して
     

    いる上,利用客が暴力団関係者かどうかは,本件ゴルフ倶楽部の従業員において施

    設利用の許否の判断の基礎となる重要な事項であるから,同伴者が暴力団関係者で

    あるのにこれを申告せずに施設利用を申し込む行為は,その同伴者が暴力団関係者
     

    でないことを従業員に誤信させようとするものであり,詐欺罪にいう人を欺く行為

    にほかならず,これによって施設利用契約を成立させ,Aと意を通じた被告人にお

    いて施設利用をした行為が刑法246条2項の詐欺罪を構成することは明らかであ

    被告人に詐欺罪の共謀共同正犯が成立するとした原判断は,結論において正

    当である。
     

    よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,

    主文のとおり決定する。なお,裁判官小貫芳信の意見がある。
     

    裁判官小貫芳信の意見は,次のとおりである。

    多数意見の結論に賛同するが,偽る行為についての私の意見は,当裁判所平成2

    5年(あ)第3号同26年3月28日第二小法廷判決における私の反対意見に述べ

    たとおりであるから,ここにこれを引用する。

    付言すると,本件実行行為である施

    設利用申込みは,会員であるAが組合せ表に被告人の氏名を記載した上,フロント

    係に被告人を含むプレーメンバーの署名簿に代署を依頼して行っている。この実行

    行為について,上記反対意見において述べたところを当てはめてみると,被告人が

    暴力団員でないとの会員による人物保証の下で申込みがされているので,これをも

    って偽る行為に該当すると認めることができることとなる。

    A自らが上記行為を行ったことを取り立てて重視する必要はないし,
    また,本件においては相当でもない
    と思われる。

    ビジター自身がフロントに赴いて署名簿に自署するのを原則とするゴ
    ルフ場において,
    会員がビジターに代わって行為に及ぶということは不審を抱かれ

    る原因ともなり得ると考えるからである。
     

    (裁判長裁判官 千葉勝美 裁判官 小貫芳信 裁判官 鬼丸かおる 裁判官

    山本庸幸)

    以下私の感想

    この二つの判決は、似た事案にも関わらず 無罪と有罪に別れました。つまり、事実認定に違いがあったわけです。この裁判では、詐欺罪の定義のひとつめ、人を欺く行為が、有ったのかどうかが、争点であったと思います。

    しかし、正規のゴルフプレイ料を払い、是といって誰にも迷惑をかけずプレイをした行為が詐欺罪に成るとは
    其処に意図するものは何だろう。無罪になった、宮崎のゴルフ場は、受付時に、暴力団関係者の確認欄も、

    暴力団関係者で無い事を誓約させ署名捺印を取っていなかった。(今回私が銀行に求められた書類)そして、受付表にも住所、氏名、電話番号に虚偽がなかった。


    有罪になった、長野のゴルフ場は、暴力団員は、申込書にメンバー同士で交錯し乱雑な文字で書き同伴者である、同クラブ会員が、フロントに持って行き、フロントマンが改めて清書し、この同クラブ会員は、同クラブへ入会の際、暴力団又は、暴力団員との交友関係は無いとアンケートに答え、且、暴力団関係者を同伴又は、紹介しない旨の誓約書を、ゴルフ場側に提出していた。

    更に、ゴルフ場側は、長野県防犯協議会事務局から提供を受けた、暴力団排除情報(嫌な名前であり差別的表現)をコンピューターにデーターベース化してあり、予約時、受付時に利用者の氏名がデーターベースに合致しないか確認をしたという。

    二つの大きな違いは、
    ①誓約書を提出させたかどうか
    ②申込書をメンバー同士で交錯させたという点
    という事だと思います。

     

     

    裁判所今日、三菱UFJ東京銀行に、預金口座を開設した。一昔前だと銀行の窓口に行って預金開設に出向くと銀行員は、満面の笑顔で応対してくれた。しかし昨今は、非常に慇懃無礼である。
    まず
    どのような目的で預金口座を開設するのか どのような利用をするのか いろいろ聞いてくる。
    次に
    私が、暴力団構成員およびその周辺者でない事の誓約書に署名 捺印させられる。えっ今じゃ暴力団通帳も作れないのと驚いた。そういえば、暴力団が口座を開設して通帳を受けっとって詐欺罪に問われたという事件を思い出した。
    そういえば、先週暴力団がゴルフをして詐欺罪で逮捕された(最近よく聞く事件だが殆ど起訴猶予事件か執行猶予付きの有罪判決
    )裁判が最高裁第二小法廷で行われ同じ日の同じ法廷で無罪判決と有罪判決があった今日は、その事件についての私の感想を述べてみたい。
    まず、詐欺罪について簡単に要約すると次のようになります。
    刑法第246条 条文

    人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

    2  前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
    詐欺罪の定義

    1. 他人の占有する他人の財物の占有を取得したり、
    2. 犯人又は第三者に財産上の利益を不法に得させること

    によって成立する罪です。

    1.を詐欺取財罪(1項詐欺罪)、2.を詐欺利得罪(2項詐欺罪)といって区別します。
    わかりやすく言うと
     無銭飲食を例にすると

    1項詐欺とは
        初めから所持金がなく支払ができないことを知りながら、レストランで飲食物を注文して給仕を受けた場合
    2項詐欺とは
        飲食後、代金支払の段階で、初めて所持金がないのに気づき、支払う意思がないのに、後で金を持ってくるなどと欺いてレストランから出た場合
    2項は1項の補充規定
    被害者を欺罔して金銭支払の約束をさせて、後にその約束に基づいて金銭の交付を受けた場合は、約束の時点で2項詐欺の既遂が成立するかにみえるが、最終的な目標が金銭の交付にある以上、約束の時点で1項詐欺の未遂となり、金銭の交付を受けた時点で1項詐欺の既遂となります。

    詐欺罪の未遂も罰せられます。
     詐欺罪の公訴時効は、7年です。
    簡単な説明ではありますが理解して頂いたうえで下記判決文をお読みください。 


     

    平成25年(あ)第3号 詐欺被告事件 
    平成26年3月28日 第二小法廷判決 
     主 文 
     原判決及び第1審判決を破棄する。 
     被告人は無罪。 
     
     理 由 
     弁護人谷口渉,同岩澤千洋の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,事案を異に
    する判例を引用するものであって,本件に適切でなく,その余は,憲法違反をいう
    点を含め,実質は事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらな
    い。 
     
     しかしながら,所論に鑑み,職権をもって調査すると,原判決及び第1審判決
    は,刑訴法411条3号により破棄を免れない。その理由は,次のとおりである。 
     
     第1 本件各公訴事実及び本件の経過 
     本件各公訴事実の要旨は,「被告人は,(1) Dと共謀の上,平成23年8月1
    5日,宮崎市内所在のB倶楽部において,

    同倶楽部は,そのゴルフ場利用細則等に
    より暴力団員の利用を禁止しているにもかかわらず,真実は,被告人及びDが暴力
    団員であるのにそれを秘し,同倶楽部の従業員に対し,Dにおいて「D」と署名し
    た「ビジター受付表」を,被告人において「A」と署名した「ビジター受付表」
    を,

    それぞれ提出して被告人及びDによる施設利用を申し込み,従業員をして,被
    告人及びDが暴力団員ではないと誤信させ,よって,被告人及びDと同倶楽部との
    間でゴルフ場利用契約を成立させた上,

    被告人及びDにおいて,同倶楽部の施設を
    利用し,(2) Eと共謀の上,同年9月28日,同市内所在のCクラブにおいて,
    同クラブは,そのゴルフ場利用約款等により暴力団員の利用を禁止しているにもか
    かわらず,真実は,被告人が暴力団員であるのにそれを秘し,被告人において,同
    クラブの従業員に対し,

    「A」と署名した「ビジター控え」を提出して被告人によ
    る施設利用を申し込み,従業員をして,被告人が暴力団員ではないと誤信させ,よ
    って,被告人と同クラブとの間にゴルフ場利用契約を成立させた上,被告人におい
    て,同クラブの施設を利用し,もって,それぞれ人を欺いて財産上不法の利益を得
    た」というものである。

     
     第1審判決は,暴力団員であることを秘してした施設利用申込み行為自体が,挙
    動による欺罔行為として,申込者が暴力団関係者でないとの積極的な意思表示を伴
    うものと評価でき,

    各ゴルフ場の利便提供の許否判断の基礎となる重要な事項を偽
    るものであって,詐欺罪にいう人を欺く行為に当たるとし,各公訴事実と同旨の犯
    罪事実を認定して,被告人を懲役1年6月,3年間執行猶予に処した。被告人から
    の控訴に対し,原判決も,第1審判決の認定を是認し,控訴を棄却した。

     
     第2 当裁判所の判断 
     1 原判決及びその是認する第1審判決の認定並びに記録によれば,本件の事実
    関係は次のとおりである。 

     
     (1) 被告人は,暴力団員であったが,同じ組の副会長であったDらと共に,平
    成23年8月15日,予約したB倶楽部に行き,フロントにおいて,それぞれがビ
    ジター利用客として,備付けの「ビジター受付表」に氏名,住所,電話番号等を偽
    りなく記入し,

    これをフロント係の従業員に提出してゴルフ場の施設利用を申し込
    んだ。その際,同受付表に暴力団関係者であるか否かを確認する欄はなく,その他
    暴力団関係者でないことを誓約させる措置は講じられていなかったし,

    暴力団関係者でないかを従業員が確認したり,被告人らが自ら暴力団関係者でない旨虚偽の申
    出をしたりすることもなかった。

    被告人らは,ゴルフをするなどして同倶楽部の施
    設を利用した後,それぞれ自己の利用料金等を支払った。なお,同倶楽部は,会員
    制のゴルフ場であるが,会員又はその同伴者,紹介者に限定することなく,ビジタ
    ー利用客のみによる施設利用を認めていた。 
     
     Eは,同月25日,仕事関係者を宮崎県に招いてゴルフに興じるため,自らが会
    員となっていたCクラブに電話を架け,同年9月28日の予約をした後,組合せ人
    数を調整するため,被告人らを誘った。

    被告人は,同月28日,同クラブに行き,
    フロントにおいて,備付けの「ビジター控え」に氏名を偽りなく記入し,これをフ
    ロント係の従業員に提出してゴルフ場の施設利用を申し込んだ。

    その際,同控えに暴力団関係者であるか否かを確認する欄はなく,その他暴力団関係者でないことを
    誓約させる措置は講じられていなかったし,暴力団関係者でないかを従業員が確認
    したり,被告人が自ら暴力団関係者でない旨虚偽の申出をしたりすることもなかっ
    た。

    被告人は,Eらと共にゴルフをするなどして同クラブの施設を利用した後,自
    己の利用料金等を支払った。なお,同クラブは,会員制のゴルフ場で,原則とし
    て,会員又はその同伴者,紹介者に限り,施設利用を認めていた。
     
     (2) B倶楽部及びCクラブは,いずれもゴルフ場利用細則又は約款で暴力団関
    係者の施設利用を拒絶する旨規定していたし,九州ゴルフ場連盟,宮崎県ゴルフ場
    防犯協会等に加盟した上,

    クラブハウス出入口に「暴力団関係者の立入りプレーは
    お断りします」などと記載された立看板を設置するなどして,暴力団関係者による
    施設利用を拒絶する意向を示していた。しかし,それ以上に利用客に対して暴力団
    関係者でないことを確認する措置は講じていなかった。

    また,本件各ゴルフ場と同様に暴力団関係者の施設利用を拒絶する旨の立看板等を設置している周辺のゴルフ場において,暴力団関係者の施設利用を許可,黙認する例が多数あり,被告人らも
    同様の経験をしていたというのであって,本件当時,警察等の指導を受けて行われ
    ていた暴力団排除活動が徹底されていたわけではない。 
     
     2 上記の事実関係の下において,暴力団関係者であるビジター利用客が,暴力
    団関係者であることを申告せずに,一般の利用客と同様に,氏名を含む所定事項を
    偽りなく記入した「ビジター受付表」等をフロント係の従業員に提出して施設利用
     
    を申し込む行為自体は,申込者が当該ゴルフ場の施設を通常の方法で利用し,利用
    後に所定の料金を支払う旨の意思を表すものではあるが,それ以上に申込者が当然
    に暴力団関係者でないことまで表しているとは認められない。

    そうすると,本件における被告人及びDによる本件各ゴルフ場の各施設利用申込み行為は,詐欺罪にい
    う人を欺く行為には当たらないというべきである。
     
     なお,Cクラブの施設利用についても,ビジター利用客である被告人による申込
    み行為自体が実行行為とされており,会員であるEの予約等の存在を前提としてい
    るが,

    この予約等に同伴者が暴力団関係者でないことの保証の趣旨を明確に読み取
    れるかは疑問もあり,また,被告人において,Eに働き掛けて予約等をさせたわけ
    ではなく,その他このような予約等がされている状況を積極的に利用したという事
    情は認められない。

    これをもって自己が暴力団関係者でないことの意思表示まで包
    含する挙動があったと評価することは困難である。 
     
     第3 結論 
     したがって,被告人及びDによる本件各ゴルフ場の各施設利用申込み行為が挙動
    による欺罔行為に当たるとして詐欺罪の成立を認めた第1審判決及びこれを是認し
    た原判決には,判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があり,これを破棄しな
    ければ著しく正義に反すると認められる。 
     
     そして,既に第1審及び原審において検察官による立証は尽くされているので,
    当審において自判するのが相当であるところ,本件各公訴事実については犯罪の証
    明が十分でないとして,被告人に対し無罪の言渡しをすべきである。 
     
     よって,刑訴法411条3号により原判決及び第1審判決を破棄し,同法413
    条ただし書,414条,404条,336条により,裁判官小貫芳信の反対意見が
    あるほか,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 
     
     裁判官小貫芳信の反対意見は,次のとおりである。 
     本件の論点は欺く行為の有無にあり,多数意見はいずれの事件においてもこれを
    否定するところ,B倶楽部の事件については多数意見と意見を同じくするが,Cク
    ラブの事件については,以下に述べるとおり,多数意見には賛同できない。 
     
     1 詐欺罪にいう人を欺く行為とは,財産的処分行為の判断の基礎となるような
    重要な事項を偽ることをいう(最高裁平成18年(あ)第2319号同19年 7 月
    17日第三小法廷決定・刑集61巻5号521頁,最高裁平成20年(あ)第72
    0号同22年7月29日第一小法廷決定・刑集64巻5号829頁参照)。

    これによれば,欺く行為は,偽る対象(以下「重要事項」という。)と偽る行為との二つ
    の要素から成り,欺く行為に該当するといえるためには各要素を充たす必要がある
    が,Cクラブの事件についてはこれを充たしていると認められる。以下,順次検討
    する。 
     
     2 まず,重要事項についてみる。 
     (1) ゴルフ場にとって暴力団員が施設を利用することは,一般的に,快適なプレー環境を害し,
    ゴルフクラブの評判を低下させて営業成績に悪い影響を及ぼす可
    能性が高いので,営業上無視できない事項といえよう。

    しかし,暴力団排除が法的義務とはされていないゴルフ場においては,暴力団排除をどこまで徹底するかはそ
    の経営方針に任されており,暴力団排除が一般的に営業上無視できない事項である
    からといって,それは暴力団排除に一応の合理的理由があるというにとどまり,直
    ちに欺く行為に必要とされる重要事項に当たるとはいえない。

    重要事項といえるか否かについては,ゴルフクラブごとに,暴力団排除がどのように位置づけられてい
    るかを客観的に観察し,財産的処分行為の判断の基礎となる重要な事項と評価でき
    るか否かを検討する必要があり,その位置づけは,具体的には,各ゴルフクラブが
    暴力団排除のためどのような措置を講じていたかによって判断するのが相当であろ
    う。 
     
     (2) ゴルフ場の暴力団排除の措置については,①立入禁止の掲示,②会員の紹
    介・同伴によるビジターについての人物保証,③フロントにおける書面・口頭によ
    る暴力団関係者でないことの確認,

    ④その他の排除措置などが考えられる。③のフロント確認については,仮にこれが実施され,
    フロントにおいて暴力団所属の有無を偽れば,虚偽事実の表明がされることになるので,
    偽る行為の問題は解消し,重要事項該当性も容易に肯定できることとなろうが,

    本件当時ほとんどのゴルフ場で
    フロント確認の措置までは講じられておらず,フロント確認は,顧客を不愉快な気
    分にさせ,また相手が暴力団員である場合には混乱が生ずる事態も危惧され,ゴル
    フ場がこの措置を採ることに躊躇させる事情があり,それが暴力団関係者に起因す
    る事情であることからすると,フロント確認を必須の条件とするのは相当ではない
    であろう。
    ①については,宮崎県において多くのゴルフ場が立入禁止の掲示をしているにもかかわらず,
    少なからず暴力団員がゴルフ場施設を利用する実態があったことからすると,立入禁止の
    掲示のみを根拠として,重要事項に該当すると認めるには十分とはいえないように思われる。

    したがって,具体的に重要事項にあたるか
    否かを検討する場合には,②と④の措置が中心となろう。
     
     (3) これをCクラブについてみると,同クラブにおいては,玄関に暴力団関係
    者の立入禁止の掲示をし,原則としてビジターの施設利用を会員の紹介・同伴によ
    る場合に限定していた上,本件の数か月前には共犯者であり会員でもあるEに対し
     
    暴力団員をプレーメンバーとするゴルフ場利用申込みを拒絶しており,また本件時
    においても従業員は暴力団員がプレーしているとの疑いを抱き,コースに出向いて
    視察確認を行っているなどの事情が認められるのであって,Cクラブが暴力団排除
     
    を重要な経営方針としていたことは客観的に明らかであり,同クラブについては暴
    力団関係者に施設を利用させないことが財産的処分行為の判断の基礎となるような
    重要な事項であったことは優に認めることができる。 
     
     3 次に,偽る行為について検討する。 
     (1) 偽る行為について積極的な虚偽事実の表明がない事案(挙動による欺罔行
    為事案)においては,実行行為である申込行為に暴力団関係者でないことの意味が
    含まれていると評価できるかを吟味してみる必要がある。

    これをゴルフクラブが暴力団排除のために採っている上記の措置との関係で検討すると,
    ①の立入禁止の掲示については,暴力団関係者が自発的に施設利用を断念することを
    期待するところに重点があると解される余地もあり,それ以上の暴力団排除の措置が講
    じられていない場合,立入禁止の措置のみが講じられた下での申込みを直ちに偽る行為と
    評価するのは困難であろう。 
     
     (2) ところで,Cクラブは,その会則及び利用約款により,暴力団関係者の施
    設利用を拒絶することを明示し,会員が暴力団関係者であるときは除名等の処分を
    することとし,会員は暴力団関係者に対する利用拒絶を前提としてビジターを紹介
    できるが,ビジターのクラブ内における一切の行為について連帯して責任を負うも
    のとしている。

    その上で,同クラブは,ビジターのゴルフ場施設利用申込みにつき
    会員による紹介・同伴を原則としており,会員の人物保証によって暴力団排除を実
    効性あるものにしようとしていた。

    このような措置を講じているゴルフ場における会員の紹介・同伴によるビジターの施設利用申込みは
    ,フロントにおいて申込みの事実行為をした者が会員であるかビジターであるかにかかわらず,
    紹介・同伴された者が暴力団関係者でないことを会員によって保証された申込みと評価することが
    できるのであり,このような申込みは偽る行為に当たるといえる。 
     
     (3) 他方,B倶楽部は,同様の規則等を制定していたものの,ビジターは会員
    による紹介・同伴がなくても施設利用ができ,本件においてもビジターである被告
    人らは会員の紹介・同伴がないまま施設利用を許されており,このように会員によ
    る人物保証がない状況の下での暴力団員の施設利用の申込みを偽る行為と認めるの
    は困難であろう。
     
     4 多数意見は,Cクラブの偽る行為について,実行行為を行った被告人に,会
    員であるEによる予約等がされている状況を積極的に利用したような事情が認めら
    れないとして,偽る行為の存在を否定している。

    しかし,会員でないため単独ではCクラブの施設利用ができず,かつ暴力団員で
    あるため施設利用を拒否されることとなる被告人にとって,プレーをしようとすれば
    会員の紹介・同伴による人物保証はなくてはならないものであり,このような状況の下
    における本件の被告人の施設利用申込みは,Eの紹介・同伴による人物保証を積極的
    に利用したものと評価できるのではなかろうか。

    また,多数意見が積極的利用の例示として挙げる「被告人において,Eに働き掛けて
    予約をさせる」ことは,共謀ないし犯意にかかわる事情ではあるが,偽る行為該当性を
    判断する際の事情といえるかについては疑問なしとしない。 
     
     5 Cクラブの事件については,上記のとおり,重要事項及び偽る行為を認める
    ことができ,さらに被告人は同クラブが暴力団関係者の施設利用を拒否しているこ
    とを知った上で,会員であるEの紹介・同伴を得て,共にゴルフプレーするため
     
    に,施設利用の申込みをしているのであるから,Eとの共謀を認めるのに欠けると
    ころはない。以上によれば,Cクラブの事件については,これを有罪と認めた原判
    決は結論において是認できる。 
     検察官岩尾信行 公判出席 
    (裁判長裁判官 千葉勝美 裁判官 小貫芳信 裁判官 鬼丸かおる 裁判官 
    山本庸幸) 

    私の感想 
     明日は、同日同小法廷に於いて有罪判決に付いて書いてみます。私の感想は明日二つの事件を比べて延べます。

    今日の成田空港の天気は雨です。TVを見ていると、羽田東京国際空港の国際線増便13の国と17の都市へと繋がる。その最初の便・羽田発全日空ハノイ便NH857便(毎日就航)定刻8:45分発ハノイ着定刻11時55分(現地時間)の映像が流れていた。

    このニュースには、おいらの心模様も雨となる。成田空港を作るとき、政府は成田は国際線羽田は国際線と閣議決定をした。そして成田空港の正式名称は新東京国際空港に決定した。(現在は成田国際空港)そして忘れもしない2009年10月あの憎き前原国交大臣(当時)が羽田ハブ空港化構想をぶち上げた。

    アジアのハブ空港なんじゃそりゃと聞いていると、羽田空港をアジアの航空路線のネットワークの中心にしようという前原ボケらしいはったりでした。まだ成田空港が、完成された空港になっていない現状まず成田の完全空港が先だろう。国土交通相として取り組むべきは、成田だろうこのペテン師大臣は、と思いながら聞いていたのを思い出します。

    羽田は、成田より圧倒的に利便性が高いとか、日本の首都東京に在るのだから是を生かさない手はないなどと言っていました。其れじゃ成田は、羽田のサブ空港にでもしようってのかいと腹を立てて聞いていました。因みにインチョン国際空港は2007年3月開港し年間3500万人の利用客数が有り67の国と161の都市へ就航しています。このうち日本の30の都市・中国32の都市へ就航しています。

    例えばアフリカのケニア・ナイロビへ飛ぶ新潟のお客様は、新潟空港から大韓航空を利用してインチョン国際空港乗り換えでナイロビ直行便を利用する。まさにハブ空港と呼べる空港である。新潟空港から国内線で羽田乗換ローマ行ミラノ空港でナイロビ行に乗り換える。どちらが利便性があるか一目瞭然ではないでしょうか。

    さて成田は、国内線利用であってもさほど面倒ではなく、就航先も33の国と101のの都市へ就航しています。年間2800万人の利用客もありインチョン国際空港に負けていません。成田と羽田のすみわけは、中々難しいと思っています。首都圏に二つの国際空港は必要だったのか?成田は、羽田に比べて立地条件に劣る。公正な競争は出来ない。競争が出来なければ残るは協調である。

    千葉県も国も、成田空港会社も、航空会社も、旅行会社も、貨物会社も皆成田の利便性・羽田の利便性良い所取りして強調出来る様頭を捻って頂きたい。又成田空港関係市町村住民始め行政執行者の市・町長・市議・町議の皆さん、未だ完全開港出来ない成田空港を一日も早く解決し、正常な状態にて競争させてあげて頂きたい。


    38

    みかん 【お客様からのお土産】の続きを読む

    最近よくコスモパーキングのお客様から、ホテル予約サービスのリクエストが多いので、久しぶりにホテルチェックをしてみました。

    まずは、成田エクセル東急ホテルに昨夜チェックインしました。お部屋は、10階の1010号室です。成田エクセル東急ホテル宿泊料金は、一泊2名朝食付きで、22,000円でした。

    お部屋の感じはこんな感じです。窓からは、高速道路や、空港通り、成田空港が遠くに見えます。ベッドは、良質でしたのでよく眠れました。シーツは衛生的に施されていて不快な思いはしませんでしたお部屋は採点すると、70点三ツ星

    トイレ・浴槽はシステムバスになっておりビジネスホテル並み、衛生面は、洗面台下、便器裏側などの清掃は、あまり行き届いているとはいえず、特にお湯があふれ出た時は
    、湯垢やごみが浮き出てきます。アメニティーセットは、ビジネスホテル並、点数は、30点一つ星という処か?



    1010東急室内
    朝食付きなので、一階ガーデニアに行きました。
    こんな感じで選び朝食をとりました。まぁこんなものでしょう。

    客層は意外と良くざわざわとした雰囲気ではありません。中国人の団体がいなかったのも幸いでした。
    朝食の評価は75点三ツ星



    さてこれでチェックアウト最後にフロントの応対についてチェック、あれこれは言いたくありません。評価40点二つ星

    総合評価 二つ星これが私の評価です。次のホテルは何処にしよう

    このページのトップヘ